さぁ開校! ~開校準備員会振り返り座談会~ 

 愛知県立愛知総合工科高等学校附属中学校(愛総中)がいよいよ開校します。これまで各教科の準備員たちの思いをお届けしてきましたが、今回は開校準備員会の締めくくりとして行われた座談会の様子をレポートします。

 これまでのインタビューと同じようにK3さんが問いを投げかけ、14名の準備員全員でこの1年間の歩みと開校への決意を語り合いました。

1 「チーム」で向き合う、新しい義務教育の形

Kさん(国語):「教員の世界は狭い」とよく言われますが、その言葉の意味を痛感しました。他地区の先生と話すだけでも、自分の学校や地区の持っている常識が通用しない。そういうものがあるんだとまず知れたことが、すごく刺激を受けた一年でした。

K2さん(理科):探究という言葉一つとっても、人や学校によって捉え方や定義が変わってくる。言葉の定義を一個一個丁寧に揃えていくことが、チームとして機能するために必要不可欠な過程だったと改めて再認識しました。

Nさん(理科):私は高校に10年勤めていますが、それでも高校のことを実はよく知らなかったのだと気づかされました。中高が連携する中で、自分が取り組む業務は「誰が誰向けに、何のために」あるのかを改めて問い直す、非常に充実した時間になりました。

Dさん(美術):私は毎週の準備員会が待ち遠しかったです。他地区の先生や高校の先生から、自分の知らない知識を聞けるのが非常に新鮮でした。一つのものを築き上げていく過程で、それぞれのキャラクターを尊重する他者理解やチームワークが非常に大切なんだと改めて感じましたし、この経験は今後の人生においても大きな財産になると確信しています。

Sさん(高校数学):中学校の先生方とこうしてお仕事をするのは初めての経験でした。中心となって活躍される皆さんの姿を見ていると、こうした中学校生活を経て高校へやってくる生徒たちを、より一層大切に預からなければならないという思いが強まりました。また、教育理念に対する理解を揃えていく研修などを通じて、バラバラだった意識が一つにまとまっていくチームの力を肌で感じることができました。

2 「自律・自主・好奇心」を自分の中心に置いて語る

Sさん(社会):いろいろ決めなきゃいけないことがある中で、もう一回「自律・自主・好奇心」に立ち返って考えてみよう、何を大事にしていこう、という話し合いの時間を取ったのはすごく意味がありました。ブレちゃいけない部分をちゃんと共有することが、何かを作り上げるチームとして大事だと感じました。

ONさん(主担当):皆さんと対話を重ねる中で、「いい中学校を作ろう! それが愛知総合工科高校の敷地内で工学的な彩りを得ることで、さらにいい学校になるようにしたい」というように、自分自身の意識も大きく変わっていきました。

3 「トライアンドエラー」を許容するチームへ

Tさん(中学数学):この1年を通して好きになったのは「トライアンドエラー」という言葉です。自分にとっては壮大な挑戦であっても、実際にやってみて、違った時に軌道修正する。「失敗が悪いことではない」というマインドが、教員人生の中で大事なものになりました。

Mさん(技術):私は本来、決められたことを着実にやるタイプでしたが、愛総中の準備を通じて新しいことに挑戦することへの抵抗感がなくなりました。この「ワクワクが成長を生むんだよ」という感覚を、生徒たちにもぜひ体感してほしいです。

Bさん(音楽):同じ方向にベクトルが向いた時のパワーを1年間感じさせてもらいました。目標が遠くに見えていても、実は目の前のことを丁寧に一個一個積み上げていくんだな、ということを本当に感じ取りました。

4 「心を動かす」教育の価値を再発見する

Gさん(保健体育):自分の授業によって、誰かの心がほんの少しでも動き、変わるきっかけになる。それは究極の自己満足かもしれませんが、お金に代えられない大事なことだと、話を聞いて改めて考えさせられました。

Jさん(英語):誰かが一生懸命やっている姿に共鳴し、そこに価値を送るようにすること。この準備員会というチームが一致団結して物事を作り上げていく、温かい雰囲気の中で仕事に対する考え方も大きく変わりました。

5 「自律した学習者」としての背中を見せる

Aさん(家庭科) :ここで皆さんの多様な価値観に触れ、「ああ、こういう考え方もあるんだな」と素直に受け止めながら解釈して、吸収していく楽しさを知りました。生徒たちの自律性、自主性を育むためには、まず私たち自身が新しいことに踏み出す覚悟を持ち、同時に失敗が許される雰囲気を醸成することが不可欠だと、身をもって実感しました。

6 未来の愛総中生へ ~星が丘で待っています

ONさん:1年前、ここに集まった14人は、自らの意志ではなく、何かに誘われて、偶然ここに居合わせた集まりだったかもしれません。しかし、1年経った今、私たちは折に触れて「自律・自主・好奇心」について話し合い、そのたびに自分を主語にして、何をすべきか、どうあるべきか模索してきました。だからこそ、今では、「自分たちが作った学校だぞ」と、自信を持って言える準備を積み重ねることができました。

 愛総中は、単に設備が整った学校ではありません。生徒一人ひとりの「好奇心」を大切にし、失敗を恐れずに自分の人生を自らの意志で決定していける「自律した学習者」を育むための、最高の場所です。 「来れば、来たくなる」。皆さんの「心のエンジン」を駆動させる毎日が、いよいよ始まります。